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- ホテリエとは?仕事内容や平均年収、求められるスキルについて解説
「ホテリエってどんな仕事?」
「華やかなイメージがあるけど実際はどうなんだろう」
中には、このような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。「ホテリエ」という言葉自体、比較的まだ生まれて新しいので、なかなか聞き馴染みがない方も多いかもしれません。
本記事では、ホテリエの仕事内容や平均年収、求められるスキルや将来性について解説します。
実際にはどのような仕事なのかを網羅的に解説しますので、ホテリエに対する理解を深めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
ホテリエとは、ホテルで働くプロフェッショナルの総称です。フロントスタッフやコンシェルジュといった接客業だけでなく、料理人や清掃員まで、ホテル内のあらゆる部署で働くスタッフを指す包括的な呼称です。
ホテリエの主な役割は、役割に応じてお客様の要望・ニーズに合わせた最高のサービスを提供することです。
例として、世界的に有名なホテルチェーンであるリッツ・カールトンでは、全スタッフが「ホテリエ」として独自のホスピタリティ哲学を共有しています。「紳士淑女をおもてなしする紳士淑女」という理念のもと、全てのスタッフがホテリエとしての誇りを持ち、お客様に対して最高のサービスを提供しています。
ホテルに宿泊するお客様は、ビジネスや観光、特別な記念日など、さまざまな目的を持っています。いわば、お客様ごとの目的に合わせて、快適で思い出に残る滞在体験を創り出すことがホテリエの使命と言えるでしょう。
ホテル業界には「ホテリエ」以外にも、似たような職業を表す言葉があります。
ここでは、混同されやすい「ホテルマン」と「コンシェルジュ」との違いについて解説します。
「ホテルマン」と「ホテリエ」は、本質的には同じ職業を指しており、それぞれの違いが言葉のニュアンス・イメージです。
「ホテリエ」はフランス語起源の言葉であり、より国際的で洗練されたイメージを持つ呼び方とされています。一方、「ホテルマン」は従来から日本で使われてきた呼び方ですが、男性の職業というニュアンスが含まれています。
多様性を重視する現代においては、性別を問わず活躍できる職業であることを表現するために、「ホテリエ」という言葉がより多く使われるようになってきました。
業界内でも「ホテリエ」という言葉が標準になりつつあり、男女問わず使える呼称として定着しています。
コンシェルジュは、ホテリエの中でも特に顧客サービスを専門とするスタッフを指します。主にホテルのロビーに常駐し、レストランの予約、観光名所の案内、交通手段のアドバイスなど、幅広い情報提供と手配サービスをおこないます。
主な仕事は、宿泊客の要望・ニーズに合わせて宿泊をサポートすることです。例えば、「地元でしか味わえない本格的な和食を楽しみたい」という要望をもらったら、宿泊客の好みや予算をふまえたレストランを探し、予約をおこないます。
一方、ホテリエはより包括的な概念であり、コンシェルジュを含むホテル全体の運営や管理に携わる全ての職種を指します。フロントスタッフや料理人、清掃スタッフ、マネージャーなど、ホテルで働く全てのプロフェッショナルがホテリエに含まれます。
つまり、コンシェルジュはホテリエの一種であり、ホテリエという大きなカテゴリーの中の専門職と言えるでしょう。
ホテル内には様々な部門があり、それぞれが連携してホテル全体の運営を支えています。
ここでは、ホテルの主要部門ごとに具体的な仕事内容と求められるスキルについて解説します。
宿泊部門は、ホテル業務の中で最もお客様との接点が多い部門です。ゲストの第一印象から最後の見送りまで、滞在全体の印象を大きく左右する重要な役割を担っています。
高いコミュニケーション能力と語学力が必須とされる、ホテリエの代表的な部門のひとつでもあります。
ドア・ベルスタッフは、ホテルの第一印象を左右する存在です。お客様の出迎えと見送りや車やタクシーで到着したお客様の誘導、ロビーでの接客・客室案内などが主な業務となります。
多くの高級ホテルでは、玄関に立つドアマンの姿がホテルのイメージを象徴しています。スマートな制服に身を包み、丁寧な挨拶と気配りで訪れるゲストを迎え入れます。ゲストの名前を覚え、常連客には名前で挨拶するなど、パーソナライズされたサービスを提供することも大切な仕事です。
この職種では、高い英語力を中心とした語学力が必要とされます。また、あらゆるゲストとのコミュニケーション能力や臨機応変な対応力も求められます。さらに、長時間立ち続ける体力も必要な職種と言えるでしょう。
フロント・コンシェルジュは、ホテルの中心的役割を担う仕事です。主に、チェックイン・チェックアウト手続きや会計・宿泊予約管理、荷物預かり・鍵管理などの業務をおこないます。
また、お客様の要望に応じて、外部サービスの予約・手配、周辺レストランの予約・観光案内などもおこないます。
この職種では、高度なコミュニケーション能力と語学力はもちろん、お客様の要望を汲み取る観察力や洞察力も必要です。また、万が一のアクシデントにも対処するための冷静な判断力も求められます。
バトラーとは、主に高級ホテルで提供される専属執事サービスです。
お客様一人ひとりの身の回りを世話する客室・ホテル内サービスに特化した仕事であり、部屋の管理から荷物の整理、衣類のアイロンといったきめ細やかな部分まで手がけます。
コンシェルジュとの大きな違いは、コンシェルジュがロビーに常駐して主に外部サービスの手配をおこなうのに対し、バトラーは客室近辺に常駐し、館内サービスのみに対応します。
バトラーには、高いホスピタリティ精神と細やかな気配りが求められます。また、「どのタイミングでお客様へ声をかけるべきか」といったタイミングを見極める感覚も重要です。
ハウスキーピングは、清潔で快適な空間提供を担当する部門です。主な業務は客室清掃、アメニティ管理・補充、タオルなどの備品補充などです。
ハウスキーピングの質は、ホテルの評価自体を大きく左右します。どれだけ接客が素晴らしくても、部屋が清潔でなければゲストの満足度は低下してしまいます。限られた時間内で業務をこなす能力や正確性、繊細さ、細部への配慮が必要な仕事です。
また、忘れ物の対応やゲストの要望に応じた追加アメニティの提供なども重要な仕事のひとつです。
料飲部門は、ホテル内のレストランやバーに関連する仕事を担う部門です。
一般的に、料飲部門は飲み物を提供するソムリエ・バーテンダー・バリスタ、接客・オーダー・料理を提供するホールスタッフ、客室に食事を配達するルームサービスという3つの役割で構成されています。
レストランやバーは、宿泊客以外の方々も多く訪れる場所なので、接客スキルはもちろん、食材や調理法に関する知識、ワインやカクテルなどの専門知識も必要とされます。
特に高級ホテルでは、ダイニングの体験がホテル選びの重要な判断材料となるシーンも少なくありません。世界的に有名なシェフを招聘したり、季節ごとの特別メニューを開発したりと、常に新しい魅力を生み出す工夫が求められます。
主に調理部門には、シェフや調理補助、パティシエ、食器洗浄スタッフなどが含まれます。
他の部門と比べてお客様との接点は少なめですが、ホテルの評価を左右する重要な部門です。
主に、朝食からディナー、ルームサービス、宴会料理まで、さまざまなシーンで質の高い料理を提供することが求められます。また、食材の仕入れや在庫管理、メニュー開発なども重要な業務のひとつです。
この部門では、高度な調理技術や手際の良さ、スピード感などが求められます。特に大規模なホテルでは、一度に多くのオーダーをこなす必要があるので、チームワークも必要となるでしょう。
宴会部門は、主にホテル内のパーティーや披露宴を担当します。パーティー・披露宴の企画相談から会場設営、クローク業務、会場内の接客まで、幅広い業務を手がけます。
特に結婚式やビジネスイベントなどの大規模な催しでは、細かなスケジュール管理と円滑な進行が求められます。また、お客様の要望を丁寧にヒアリングし、予算内で最高の体験を提供する提案力も必要です。
宴会部門は、他の部門と比べて宴会スタッフのアルバイトなどの力を借りるシチュエーションが多い仕事でもあります。そのため、アルバイトスタッフなども含めたチーム全体のマネジメント能力も求められる職種と言えるでしょう。
管理営業部門は、ホテル経営の核となる部門です。お客様との接点は少ないものの、ホテル運営には不可欠な役割を担っています。
この部門では、経理・人事・総務などのバックオフィス業務やホテルサービスの営業・販売促進、広報担当などを担当します。また、総支配人(GM)はホテルの最高責任者として各部門を統括します。さらに、副総支配人(AGM)には総支配人を補佐する重要な役割があります。
管理営業部門は、マネジメント力や営業力、判断力、事務処理能力、語学力などのさまざまなスキルが必要な部門と言えます。
ホテリエの1日は忙しく、宿泊業という業務の性質上、24時間の勤務体制をとっているケースがほとんどです。
ここでは、フロント業務の一般的な1日の流れを日勤・夜勤に分けて紹介します。
日勤の場合
時間帯 | 業務内容 |
---|---|
9:00~ | 出勤 |
9:30~10:00 | MTG・引継ぎ |
10:00~12:00 | チェックアウト業務 |
12:00~13:00 | 休憩 |
13:00~15:00 | 事務作業 |
15:00~17:00 | チェックイン業務 |
17:00~17:30 | お客様対応 |
17:30~18:00 | MTG・引継ぎ |
18:00~ | 退勤 |
夜勤の場合
時間帯 | 業務内容 |
---|---|
17:00~17:30 | 出勤 |
17:30~18:00 | MTG・引継ぎ |
18:00~19:00 | チェックイン業務 |
19:00~20:00 | 夕食 |
20:00~22:00 | お客様対応 |
22:00~24:00 | 事務作業 |
24:00~3:30 | 仮眠 |
3:30~5:00 | 清掃 |
5:00~7:00 | 事務作業 |
7:00~9:30 | チェックアウト業務 |
9:30~10:00 | MTG・引継ぎ |
10:00~ | 退勤 |
このように、同じ役割であっても日勤か夜勤かによって担う業務も異なり、時間帯ごとに合った業務が割り振られます。
厚生労働省の調べによると、宿泊業に従事する労働者の平均年収は329.6万円ほどとされています。これは全産業の平均と比較すると低い水準ですが、管理職への昇進やスキル習得によって年収アップのチャンスはあります。
参考:接客担当(ホテル・旅館)|職業情報提供サイト「job tag」
また、一般的にホテルの業態は次の2パターンに分類されます。
一般的に、ラグジュアリーホテルの方が年収は高い傾向にありますが、その分だけ求められるスキルや責任も大きくなります。例えば、高級ホテルのコンシェルジュは、幅広い知識と人脈、複数の言語能力などが求められるため、それに見合った報酬が設定されています。
また、都市部のホテルと地方のホテルでも収入に差があります。東京や大阪などの大都市では人件費が高くて外国人観光客も多いので、語学力などのスキルに対する評価も高くなる傾向です。
平均年収は働くホテルのタイプやポジション、地域によっても大きく変わるので、一概に「ホテリエの年収はいくら」と断言することは難しいと言えるでしょう。
ホテリエとして活躍するためには、専門知識やテクニカルスキルも重要ですが、特に以下の2つのスキルが不可欠です。
一つひとつみていきましょう。
ホテリエになるには、マナーや気くばり、心くばりといったホスピタリティが必要不可欠です。ゲストに真の満足と感動を与えるには、マニュアル通りの対応ではなく、個々の目的や状況を汲み取り、良い意味で予想を裏切るサービスが不可欠です。
例えば、誕生日で宿泊しているゲストに対して、事前に把握していた情報をもとにサプライズのケーキを用意する、ハネムーンのカップルの部屋に花びらでメッセージを作るなど、ゲストの特別な時間をより思い出深いものにする工夫がホスピタリティの表れです。
また、アクシデントが発生したときの対応もホスピタリティとしての腕の見せどころです。予約の行き違いがあった場合でも、どうすればゲストに満足してもらえるのかを第一に考え、迅速に解決策を提案することが求められます。
いわば、ホテリエになりたいなら「ホスピタリティ」を磨くことが大きな鍵となるでしょう。
ホテルスタッフには、多言語対応能力が求められます。特に外国人ゲストが多い有名ホテルでは英語力が必須スキルと言えるでしょう。
宿泊部門は外国人と接する機会が多いため、より高い英語力が求められる傾向にあります。新卒採用において「語学力がある」とみなされる一つの目安は、TOEIC®600点程度です。ただし、フロントやコンシェルジュは、複雑な質問に対応したりトラブル時に的確な説明をしたりする必要があるので、TOEIC®800点以上を目指す方もゼロではありません。
また、近年は中国や韓国からの観光客も増加しているので、中国語や韓国語のスキルも重要です。語学力は一朝一夕で身につくものではありません。ホテリエを目指すなら、早い段階から語学学習に取り組むことをおすすめします。
一般的に、ホテリエになるときは主に専門学校で知識・技術を習得後、ホテル、旅館、テーマパーク等へ就職するルートを辿ります。
ただし、料理スキルや語学力が必要なポジションを除いて、ホテリエになるために特別な資格などは必要ありません。その前提で、昇給や昇格などを狙いたいのであれば、専門的な知識があった方が有利に進む可能性は高まるといえるでしょう。
参考として、以下はホテル・観光系の専門学校で主に学べるカリキュラムの一例です。
これらの学校では、実際のホテルと同じような環境で実習を受け、即戦力となる人材を育成しています。また、一部の学校ではバーテンダーやソムリエの専門知識も習得できるコースを設けており、料飲部門を目指す学生に人気があります。
就職活動においては、在学中のインターンシップやアルバイト経験も重視されるので、学校で学んだ知識を実践に活かすチャンスがあります。企業側にとっても、学生の現場適応力や接客センスを見極める重要な判断材料となるでしょう。
なお、最近は既存のホテルチェーン以外にもブティックホテルや特色あるリゾートといったさまざまな就職先が増えています。
自分の目指すホテリエ像に合った職場を選ぶのも、重要なポイントだと言えるでしょう。
ホテリエの一般的なキャリアプランは、「支配人などのゼネラリストになる道」と「料理長などのスペシャリストになる道」の2パターンに分かれます。
まずゼネラリストには、ホテル全体を円滑に運営するためのマネジメント力や経営視点が求められます。一般的には、フロントやレストランなどの部門から始まり、部門マネージャー、副支配人を経て、最終的には総支配人を目指します。
一方、スペシャリストは、料理やソムリエ、コンシェルジュといった特定の分野で専門性を高めていきます。例えば、調理部門であれば見習いから始まり、料理人、部門シェフ、副料理長を経て、最終的には料理長を目指します。スキルを磨いていくにつれて、仕事の裁量権を持てるようになります。
また、キャリアステップを進んでいく過程で海外のホテルを経験するのも、グローバルなホテリエとして成長するための重要なステップと言えるでしょう。
国際的なホテルチェーンでは、海外研修や転勤の機会も多いので、世界標準のサービスやホスピタリティを学べるでしょう。
現在、インバウンド需要の回復と円安傾向によって、ホテル業界は回復傾向にあります。さらに、大阪・関西万博で日本への外国人観光客数も徐々に増えており、今後さらなる成長が期待されています。
また、業界でもDX化(デジタルトランスフォーメーション)が進んでいます。チェックイン・アウトなどの自動化が進んでいるおかげで、人手不足といった問題も解消されつつあります。
一方、ホテル経営を安定させるためには差別化が不可欠な時代でもあります。全国各地でホテルの新規開業が続く中、単に「きれいな施設」「立地が良い」だけでは競争に勝ち残ることは難しいかもしれません。
例えば、地域の特色を活かした体験プログラムの提供、サステナビリティを重視したホテル運営といったオリジナリティが求められています。
ホテリエにとっても、接客スキルやホスピタリティだけでなく、デジタルリテラシーや多様性への理解、環境問題への意識などの視点が必要とされる時代です。変化を恐れることなく、常に学び続ける姿勢がこれからのホテリエには欠かせないでしょう。
ホテリエは単なる接客業ではなく、ゲストの思い出に残る体験を創造するプロフェッショナルです。いわば、ホテル内のさまざまな役割に応じて、専門性を活かしながらお客様にとって快適なサービスを追求する仕事と言えます。
ホテリエには、ゼネラリストやスペシャリストといった複数のキャリアパスがあるので、自分のキャリアプランに応じた選択が可能です。ただし、ホテリエになるためには、接客業に関する知識やスキル以外にも、ホスピタリティや語学力といった基本スキルの向上が欠かせません。
なお、業界全体ではインバウンド需要の回復やデジタル化の進展によって、今後も成長が期待されています。一方で、競争の激化により差別化の重要性も増しており、ホテリエにも新たなスキルや視点が求められるようになっています。
決して楽な道ではありませんが、お客様の笑顔や「ありがとう。また来たい」といった言葉が大きなやりがいとなります。
「おもてなし」の心を持ち、人々の特別な時間に寄り添う仕事として、今後も多くの人々に支持され続けるでしょう。